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2023-06-16

【導入事例】東京大学大学院理学系研究科附属 超高速強光子場科学研究センター 様

  • 掲載許可をいただいた内容のみ公開しております。

MAIL INTERVIEW

メールインタビュー

 

所属機関名

東京大学大学院理学系研究科附属 超高速強光子場科学研究センター
Center for ultrafast intense laser science, school of science, the University of Tokyo

 

VirtualLabに関心をお持ちいただいたきっかけ

展示会での営業

 

導入の決め手

自分が数値計算するより高度な計算が可能だと感じたから
I felt that it was possible to perform more advanced simulation than I could do with numerical calculations using python or IGOR software.

 

VirtualLabを使用された人数

1名。

 

使用頻度

約1か月間集中して使用。

 

VirtualLabを使用された研究テーマ

「高パワーレーザー共振器の設計と熱、機械効果の解析」

 

研究テーマに対する評価結果

我々は、レーザー加工と分光計測への応用を目的とした高パワー高繰返しフェムト秒レーザー発振器の開発のために、イッテルビウム固体結晶をレーザー媒質とした共振器を設計して、その実装を行いました。レーザー共振器から発生したパルスは、1秒あたり2x108 個程度のサブピコ秒パルスを発生した結果、40 kW以上のピークパワーを達成しています。今回用いたレーザー媒質は、ファイバー結合したレーザーダイオードを用いて励起しましたが、レーザー媒質における非線形光学効果が予想以上に強かったため、設計した共振器の構成を調整した結果、1ピコ秒以下のパルス幅のモード同期レーザーパルスを得ることが出来ました。今後、レーザー共振器内にピエゾ素子によって高速駆動するミラーを設置して、光検出器で測定したレーザー繰返し信号を基準周波数と比較して同調するようにフィードバックすることによって共振器の周波数安定化を試みて、分光計測への応用を展開する予定です。

 

下記内容に関する評価結果と所感

「高パワーレーザー共振器の設計と熱、機械効果の解析」
単純な共振器の解析までようやく出来たというところで、ソフトウェアの使い方を理解するのが難しいと感じた。レーザー共振器の光学設計ができれば良いと考えていたが、大型で複雑な共振器のビーム伝搬をこのソフトウェアで設計するのは難しいと感じた。また、ベースとなる光学設計ソフトでは、レーザー共振器内でのパルス幅の変化や非線形光学効果によるビーム径の変化などは現時点でシミュレーションすることは難しく(もしくは非常に大きな計算コストを用意する必要があり)、現実のレーザー共振器の設計に耐えうるものではないと感じた。
それに対しては、チュートリアルの数を増やして、いろいろなサンプル例を閲覧できると大変ありがたい。個々のレーザー媒質に関する主要なデータをソフトウェア上に持っていてくれるとありがたい。現時点で何が出来て何が出来ないのかよくわからない状態で使っていたため苦労した。

 

上記の解析で苦労された点と上手くいかなかった点

このテーマに適用するには、ソフトウェアの使い方に慣れるための時間が必要だと感じた。単純な系についての解析方法は理解することができたが、共振器の光学素子の配置が自分の直感と異なっており、目的の共振器の光学系を配置すること自体、非常に難しいと感じた。本来は、共振器内の光による光学素子や機械部品の温度変化が与える影響について知見を得たいと思っていたが、そこまで実装する方法を理解するに至らなかった。

 

上記以外でVirtualLabを用いて解析された内容とその結果

「フェムト秒レーザーパルスの伝搬解析」
入力のフェムト秒パルス波形が、分散媒質中でどのように変化するかについてシミュレーションを行なった。単純な系であったが、結果は予測された通りに得られた。

 

使用される中で感じられたVirtualLabの良いところ

ポテンシャルが非常に高いこと。ただ、使いこなすのが難しい。最適化など有用なツールが付いていること。

 

使用される中で感じられたVirtualLabで改善が必要なところ

3Dビューでの光学系の配置を見ながら、光学系を動かせると良いように感じた。多くの光学系が平面内に配置されることを考えると、2Dビューがリアルタイムで見えるだけでも構わない。

 

今後VirtualLabに期待されること

個人が使いこなすことは簡単ではないと思う。ユーザーを多くして、ユーザーコミュニティーが新たなアプリケーションを提供し合って、チュートリアルを増やすことによって、多くにユーザーがこのソフトのポテンシャルをフルに利用できるようになるのではないかと思う。