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2023-03-13

波数空間におけるレイアウトの可視化(マジックサークル)

拡張/複合現実のためのライトガイドデバイスは、2 つの機能を同時に満たさなければなりません。周辺環境によって散乱された光が透過し、同時に、放出された人工的な像がユーザーの眼において重ね合わされるようにしなければなりません。これは、光を入射/出射結合させるための様々な種類の表面型格子構造と、全反射との組み合わせにおいて導光が可能となった透明なライトガイドで最もよく実現されています。VirtualLab Fusion のk-Layout Visualizationツールにより、特定のライトガイドレイアウトの導光/結合条件を解析するために、波数空間(k-domain)を強力に可視化することが可能になります。

コンセプト

Direction Converter Calculator

  •  平面波(FOV* モード)は、進行方向によって特徴づけられます(単位 方向ベクトル)。進行方向は様々な方法で表すことができます:
    1. ライトガイドでは、デカルト角 θx と θy を使用するのが一般的です。

    2. 球面角(θ および φ)を使用すると、等式は次のようになります。

    3. 平面波の進行方向は、その波数ベクトル k に関連しています。
    ここで、k 0 = 2πΤλ で λ は真空中の波長であり、nは波を考慮する媒質の屈折率です。
  • Direction Converter Calculator は、Start > Calculators から 見つけることができます。これは、角度を指定する様々な方法を実 証するのに役立ちます。

* field of view:視野角

波数空間の可視化

波数空間の可視化:平面波の伝播

  • 平面波の所定の媒質での伝播では、波数ベクトルの座標は、実空間で取り得る一つの方向に対応します。上図に示すように、伝播方向は90°未満である必要があります。
  • この伝搬方向の範囲を波数空間で考えると、k の最大値は上限となる角度 90°(すなわち kz = 0)に相当します。従って、媒質を伝搬しうるすべての波数ベクトルk の投影は、k の最大値の円の内側にあります。

波数空間の可視化:全反射

  • ライトガイド内部に光を「閉じ込める」ために、kの値の範囲はライトガイドの媒質の円の内側で、空気の円の外側にする必要があります。
  • 言い換えれば、ライトガイドのより光学密度の高い媒質を 伝播できる一方、外側には伝播できないようなk の値に対して、全反射(TIR)が生じます。
  • これは、2つの円周で囲まれた円環に相当します:

波数空間の可視化:視野角(FOV)の「箱」

• 空気中において、視野角と波数ベクトルは以下のように関連しています。

  • ある視野角の範囲に対する kの値は (kx , ky) 平 面 上の波数空間領域、つまり視野角の「箱」を形成します。視野角が広いほど、その「箱」は大きくなりま す。 
  • 境界条件によれば、kin = klgすなわち波数空間では、 視野角の領域は、入射波の場合と同様に、ライトガイド の内側にあることになります。

 

波数空間の可視化:波数空間における RGB と視野角

  • 波数空間のすべての計算において、次の式に従い波長の大きさが影響します。
  • また、媒質による分散 n(λ)についても正確 なモデリングに含まれるべきです。
  • 波長 λによる波数空間の大きさへの主な影響は、緑、青および赤それぞれの要素 1、1.6、 0.82に応じた縮尺です。

波数空間の可視化:視野角(FOV)の「箱」のシフト

  • 視野角の初期値は空気中として定義されるため、初期値 の視野角の「箱」は内側の円に収まる必要があります。
  • 全反射により視野角の全範囲を眼に移動するには、視野角の「箱」全体が、2つの円周で囲まれた円環の中に収まるようにする必要があります。 
  • 装着者の眼に合うように、伝搬の最後で視野角の「箱」は、アイボックスの位置でライトガイドから出射結合されるべきです。

波数空間の可視化:回折格子による結合

  • ガラスプレートだけで構成される光学系では、kベクトルは 変化せず k = kx, ky 、ビームは進行方向を変えずに (kair = klg)プレートを透過するだけです(わずかな横方向のズレのみ生じます)。 
  • つまり、ライトガイド内部にビームを「閉じ込める」ためには、ガラスプレートへの入射時に kを修正することが有効です。 
  • 波数空間において、回折格子は線形回折格子の以下の回折格子方程式に従って、klgの変化を実現する非常にエレガントな方法を提供します。:

ここで、m∈Z は検討中の回折格子の次数で、 格子ベクトルは次式で表せます。

(dx, dy)は、示された次元に沿った回折格子の周期です。

k-Layout Visualization Calculator の使用

VirtualLab Fusion における k-Layout Visualization Calculator

  • k-Layout Visualization Calculator は Start > Light Guides > k-Layout Visualization で確認できます 
  • 注) k-Layout Visualization Calculator は、Hololens 1タイプ(1D-1D EPE:瞳 拡張)のレイアウトでのみ機能します

表示の設定

k-Layout Visualization Calculator:波長

  • 波数空間のすべての計算で、波長は大きさに影響します。 k0 = 2πTλ 
  • さらに、正確なモデリングのためには媒質の分散 nλを考慮に含めるべきです。 
  • つまり、波長は視野角の箱と導光条件の円環の大きさに影響します。

k-Layout Visualization Calculator:媒質

  • その屈折率により、周囲の媒質は内側の全反射の境界条件、ライトガイドの媒質は外側の全反射の境界条件に 影響します。 
  • 分散の依存性(ほとんどはλに関するnlgの依存性)も考慮しなければなりません。

k-Layout Visualization CalculatorCalculator:視野角

  • 視野角の範囲は、視野角の「箱」の大きさに影響します。
  • θx,θyとkx, ky間の非線形の関係に注意してください(kx=k0n・tanθxでの正接のため)。

k-Layout Visualization CalculatorCalculator:視野角のオフセット

  • 視野角のオフセットは、視野角の「箱」をシフトさせます。
  • 非線形の関係の影響により、結果として視野角の「箱」の形状が歪曲します。

k-Layout Visualization CalculatorCalculator:回折格子

  • 回折格子の周期は、次の式で表す格子ベクトルの長さに影響します。
  • 回転角度は図中の格子ベクトルの向きに影響します。

k-Layout Visualization CalculatorCalculator:回折格子の次数

  • 回折格子の次数の符号は、格子ベクトルΔkの正負により、視野角の「箱」の移動方向を表します。
  • 意図された動作の次数と符合は、回折格子の向きに連動して選択する必要があります。例えば、-1次として選択された -45°の回転角度は、+1次として選択された+45°の回転角度と物理的に等価です。
  • また、より高い次数を選択することも技術的には可能です。とりわけ、回折格子により大きな周期の値を採用することを可能にし、より容易に製造することを可能にするためです。一方で、より高い次数での回折効率を最大化しようとするとき、設計工程はより困難になります。

ドキュメント情報

 

タイトル 波数空間におけるレイアウトの可視化(マジックサークル)

ドキュメント番号

LIG.0004
バージョン 1.0
Edition/Toolbox VirtualLab Fusion Advanced Edition Light Guide Toolbox Gold
使用したVirtualLabのバージョン 2021.1(Build 1.180)
カテゴリー Feature Use Case
参考資料 Constructionof a Light Guide
Modeling of a “HoloLens 1” Type Layout with Light Guide Component
Flexible Region Definition
Specification of Diffraction Orders and Efficiencies for Grating Regions
Light Guide Layout Design Tool