TECHNICAL KNOWLEDGEBASE
【Grating Package】
2023-03-02
光学系全体に対するGrating Component
回折格子は最も広く使用されている回折素子の一つです。今日では、複雑な光学系でしばしば採用され、他の素子とともに機能しています。このような場合には、素子単体としてだけではなく、光学系のその他素子との組み合わせにおいてシミュレーションし、光学系全体としての性能を評価することが重要となります。VirtualLab Fusionの特徴あるGrating Componentにより、1D周期(ラメラ)、2D周期、体積型(ブラッグ)のような様々な形状の回折格子であっても、光学系に含めることが容易になります。ここでは、回折格子の次数の設定とスタックの配置に触れながら、このComponentの特徴を紹介します。
光学系における回折格子のモデリング
- 一般的なOptical Setupでは、光学系の任意の位置にGrating Componentを挿入することができます。
- 複雑な光学系内に回折格子をモデリングし、回折格子によって起こり得る効果を考慮することで、光学系全体としての性能を評価することが可能になります。
- Grating Component は、Components >SingleSurface &Stack>Grating で確認できます。
回折格子スタックの付加
- 光学系内の回折格子を表現するために、Grating Stackは仮想的な基準面(平面のみ)に付加されます。
- Componentの大きさは、3D 光線追跡ビューでの表示目的のためだけで、シミュレーションにおいてはアパチャー効果は含まれません。
- 基準面(Reference Surface)を3D システムビューで可視化して、回折格子の位置合わせの参考にすることができます。
- 格子構造は、1D-周期(ラメラ)でも、2D-周期(交差)でも適用可能です。
スタックの向き
Stack の向きは、2つの方法で指定できます:
基準面の前面または裏面(Solid タブで定義)に適用できます。
前面に配置されている場合、Z軸周りにスタックが180度回転することに注意してください。これはStack 内部の座標系に影響するため、高さプロファイルを指定する間に考慮する必要があります。
基板・フレネル損失・回折角の取扱い
- 例えば回折効率の計算など、慣例的に基板の作用についてはしばしば省略しています。
- 一方で、現実には格子構造は基板上に必ずあります。モデリングにあたり、自由空間の範囲を挿入する形でPlane Surface Component を使用します。
- Plane Surface をモデリングする際、フレネル効果(S-Matrix Solver)が含まれます。
高度なオプションと情報
- Solverメニューには、いくつかの高度なオプションが用意されています。
- Solverタブでは、使用するFMM(FourierModalMethod:別名RCWA(RigorousCoupled-WaveAnalysis))アルゴリズムの精度設定を編集できます。
- 考慮する回折次数の総数、または、エバネッセント次数を設定することができます。
- この設定は、金属回折格子を考慮する場合に役立つかもしれません。一方、誘電体格子の場合には、デフォルトの設定で充分かもしれません。
構造の分解
- Structure Decompositionタブから、構造の分解に関する情報を見ることができます。
- Layer Decomposition とTransition Point Decomposionを使用して、構造の離散化を調整できます。このデフォルトの設定はほぼすべての格子構造に適しています。
- 層数と転移点に関する情報も確認できます。
- Decomposition Preview ボタンから、FMMでの計算に使用される構造データの図を見ることができます。屈折率はカラースケールで表現されます。
回折格子次数チャネルの選択
- シミュレーションで考慮する具体的な透過次数と反射次数を定義することができます。裏面からも照射されるなどの状況に応じて、異なる次数を定義することも可能です。
- 必ずしもすべての回折次数を考慮しなければならないわけではなく、シミュレーションの効率を保つために、関心のある次数だけ使用することをお勧めします。
- 回折格子次数チャネルの選択は、FMM計算での回折次数の数(すなわち精度)には影響しません。
回折格子の角度応答
- VirtualLab Fusionでは、FMM(別名RCWA)により、波数空間においてGrating Componentの演算子をモデリングします。
- 所定の回折格子の回折の挙動は入射波に関係します。
- 波長/偏光が異なると、回折効率は変化し、入力角度が異なっても同様に変化します。
- 角度依存性のある回折の挙動を分解するために、波数空間(角度空間)におけるサンプリング点数を指定する必要があるかもしれません。詳細については、以降の例を参照してください。
例:導波路共鳴格子の角度応答
導波路共鳴格子の後ろ、とりわけ臨界角付近まで傾けたとき、遠視野での電磁波はどのように見えるでしょうか?
導波路共鳴格子の角度応答
ドキュメント情報
タイトル |
光学系全体におけるGrating Component |
ドキュメント番号 |
SWF.0004 |
バージョン | 2.0 |
Edition / Toolbox | VirtualLab Advanced |
使用したVirtualLabのバージョン | 2021.1(Build 1.180) |
カテゴリー | Feature Use Case |
参考文献 |
Configuration of Grating Structures by Using Interfaces |