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2023-03-15

シャックハルトマンセンサーのシミュレーション

電磁場の完全な特性評価には、エネルギー密度だけでなく位相の情報も重要です。シミュレーションでは数値データからこの情報を直接計算できますが、現実の実験室ではより洗練されたアプローチが必要です。位相の情報を測定する一般的なツールがシャック・ハルトマンセンサーで、マイクロレンズアレイ(MLA)を用いて、焦点面での対応するスポットの変位から、入射波の波面を再構成します。この種のデバイスを調べるために、異なる波面を持つ入射波でシミュレーションを行います。

タスクの説明

a) 平面波
  • 波長640nm
  • 発光点まで無限遠
  • 直径2mm×2mm(矩形)
b) 傾斜した平面波
  • 波長640nm
  • 傾き2.5°
  • 直径2mmx2mm(矩形)
c) 弱い球面波
  • 波長640nm
  • 100mm前方に発光点
  • 直径2mmx2mm(矩形)
d) 強い球面波
  • 波長640nm
  • 40mm前方に発光点
  • 直径2mm×2mm(矩形)

マイクロレンズアレイ
  • 材質:N-BK7
  • 両凸ダブレット
  • 曲率半径:5mm
  • レンズのサイズ:200μmx200μm(矩形)
  • レンズ数:5x5
ディテクタ
  • 入射波の波面
  • 理想平面波の焦点面での電磁場のエネルギー密度

光学系の構成要素 - コンポーネント

MicrolensArray素子を使用すると、任意形状のマイクロレンズアレイを簡単に定義することができます。材質およびサイズは、Solid タブを介して定義され、一方でマイクロレンズの形状は、個別のSurfaceAdd-Onsタブからアクセスできるスタックコンセプトを介して構成されます。
素子は構造全体または個々のマイクロレンズを通してシミュレーション可能です。

光学系の構成要素 – ディテクタ

Camera Detectorでは、光学系の任意の場所で電磁場のエネルギー密度を算出することができます。Electromagnetic Field Detectorでは、純粋または複素値での電磁場のデータを算出可能です。また、前述した入射波の波面を確認したい場合は、ここで算出することもできます。

概要 – コンポーネント

シミュレーション結果

光線追跡と電磁場追跡でのシミュレーションの概観 

MLA 前方の波面

シミュレーションでは、入射波の波面をシャックハルトマンセンサーの前方で検出できます。よくコリメートされたビームは、著しく変形した波面を持たないため、焦点面でのスポットは等間隔のグリッドを形成することが期待されます。一方で球面波の場合、中心から離れたスポットは球状の波面の強さに応じて変位します。

平面波と傾斜した平面波

  • 垂直入射でない平面波では、対応する側へパターン全体がシフトします。
  • より複雑な波面(位相)では、不均一にスポットがシフトします。

平面波と二つの球面波での光線追跡の結果

上の図は、以下の光線追跡の結果を示しています。

  • 平面波
  • 弱い発散球面波
  • 強い発散球面波

これらを1つの図の中にまとめ、MultipleLightSourceでシミュレーションしました。
見かけは異なりますが、中心のスポットは同じ位置にあります。中心から外れると、球面波から得られるスポットは、その発散角に従って外側へシフトすることを示しています。

球面波 - 中心のスポット

中心のスポットについては、光軸での波面が同じであるように、以下の三通りとも同じ位置にあります。

球面波 - 角のスポット

しかしながら、光軸外のスポットについては、入射波の波面の強さに応じてスポットの位置がシフトします。

VirtualLab Fusionのテクノロジー

ドキュメント情報

タイトル シャックハルトマンセンサーのシミュレーション
ドキュメント番号 MLA.0003
バージョン 1.1
Edition VirtualLab Fusion Advanced
使用したVirtualLabのバージョン 2021.1(Build1.180)
カテゴリー Application Use Case
参考文献 Advance Simulation of Micro Lens Array with VirtualLab Fusion
Investigation of Propagated Light behind a Microlens Array