TECHNICAL KNOWLEDGEBASE
【VirtualLab Fusion】
2023-03-17
ミラーコーティングがパルス特性に及ぼす影響
超高速光学の分野における新技術の出現により、超短パルス光をターゲットに届けることが、ますます重要な課題となっています。そのために、金属膜や誘電体膜をコーティングしたミラーを使用するのが一般的です。従って、選択したミラーの種類によって生じるパルス光伝搬の特性に及ぼす影響の調査は特に関心を集めています。この事例では、銀のミラーと高反射(HR)誘電性コーティングミラーの光学系におけるパルス光伝搬を比較することにより、この影響を説明します。
モデリング概要
タスク
ミラーの種類が、光学系を伝搬した後のパルスパラメータ(最大振幅とパルス幅)にどのような影響を及ぼすかを調べます。
光学系の構築 - 光学要素
x、y不変積層に対して高速解を与えるので、コーティングミラーにはStratified Media Componentを使用します。VirtualLab Fusionのコーティングカタログから二酸化チタン(TiO₂)と二酸化ケイ素(SiO₂)の交互層から成るHR誘電体コーティングを選択します。
光学要素の伝搬計算にLayer Matrix field solver を使用します。
光学系の構築 - ディテクタ
Pulse Evaluation Detectorは、1D、2D、または3D評価のそれぞれに対して、所定の点、線、または平面で波長および時間領域の電磁場を自動的に計算します。
例えば、パルスの二乗振幅の最大値や半値全幅(FWHM)など、さまざまな出力オプションを利用できます。
まとめ - 光学要素
光線 - 電磁場追跡結果の印象
パルス評価 – 銀ミラーの振幅
4枚の銀ミラーで反射した後、パルスの振幅は著しく減少します。その減少は使用ミラー数に比例します。
パルス評価 - 銀ミラーの半値全幅(FWHM)
金属表面は広い周波数範囲にわたって低分散効果を示すため(表皮深度が非常に浅いため)、複数の銀コーティングミラーと相互作用してもパルス持続時間は安定しています。
パルス評価 - 誘電体ミラーの振幅
測定により、使用した多層誘電体膜は、特定の波長に対して高い反射率および低い分散効果に到達できることを示しました。
S. De Silvestri, P. Laporta, and O. Svelto, "Analysis of quarter-wave dielectric-mirrordispersionin femtoseconddye-lasercavities,"Opt.Lett.9, 335-337(1984)より
パルス評価 - 誘電体ミラーの半値全幅(FWHM)
分散効果は、特定の波長付近のある帯域でのみゼロに近くなります。したがって、短いパルスの場合、ブロードニングが生じる可能性があります。
S. De Silvestri, P. Laporta, and O. Svelto, "Analysis of quarter-wave dielectric-mirrordispersionin femtoseconddye-lasercavities,"Opt.Lett.9, 335-337(1984)より
ミラーの種類の違いによる最終パルスの比較
100フェムト秒パルスに対する結論
- 金属表面は全体的に分散効果が低いことが知られているため、銀のコーティングはパルス持続時間をかなり維持しますが、反射率が低くなります。
- HR誘電体TiO₂-SiO₂コーティングは、設計周波数帯で使用した場合、分散効果がほぼゼロとなり、ピークとFWHMが非常に安定しています。
30フェムト秒パルスに対する結論
- より短いパルス持続時間において、誘電体コーティングはピーク振幅を減少させながら、FWHMを広げています。
VirtualLab Fusion のテクノロジー
文書情報
タイトル | ミラーコーティングがパルス特性に及ぼす影響 |
文書コード | USP.0009 |
バージョン | 1.0 |
エディション | VirtualLab Fusion Basic |
ソフトウェアバージョン | 2021.1 (build 1.180) |
カテゴリー | Application Use Case |
参考資料 | Pulse Broadening in Dispersive Media Femtosecond Pulse Propagation through Dispersive Seawater Grating Stretcher for Ultrashort Pulses |