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2023-02-01

連続的に変調された格子領域を持つライトガイドの最適化

拡張および複合現実(AR & MR)用途の分野におけるライトガイドデバイスの設計過程において、横方向の均一性(FOVモードあたり)と全体の効率は二つの最も重要なメリット関数です。ライトガイド光 学系における均一性と効率を適切な値にするためには、特に瞳拡張/出射結合領域における回折格子のパラメーターの変動を許容しなければなりません。このために、VirtualLab Fusion では、格子領域において滑らかに変化する格子パラメーターを扱えるようにし、定義されたメリット関数に従った最適化を実行するために必要なツールを利用できます。ここでは、適切な均一性を得るために、フィルファクターの値を連続的に変化させるライトガイドの最適化を示します。

タスクの概要

タスク:(単一の FOV モードに対して)アイボックス内で適切な横方向の均一性を達成するために、格子領域の連続的 に変化するフィルファクターをどのように最適化すればいいでしょうか?

Light Guide Component

Light Guide Component により、複雑な形状の 格子領域を持つライトガイド光学系を簡単に定義 できます。さらに、入射/出射/瞳拡張格子とし て動作するよう、これらの領域に理想格子または実格子を設定することができます。詳細情報は以下を参照ください:
Construction of a Light Guide

格子領域

入射/出射/瞳拡張(EPE)格子には、実格子が 用いられます。それらのレイリー行列と対応する 効率を FMM(別名 RCWA)で厳密に計算しまし た。設定方法の詳細については、以下を参照してください:
How to Set Up a Lightguide  with Real Grating Structures

まとめ ー コンポーネント

基本的な流れについての補足説明

1. 基本的なライトガイド Optical Setup の構成(こ の事例では触れません)
2. パラメータ変調についての 全ての要求を備えた Optical Setup を生成する  Footprint and Grating  Analysis ツールの適用

開始点は、既にある処理可能なライトガイド光学系であり、そこでは、基本的な形状(所望の距 離および格子領域の配置)や回折格子の仕様(配向、周期、次数)は既に含まれています。こ の開始点は、以下から例として採用されています:

3. 所望の格子パラメー ター変調の定義

格子領域の実形状は設定されています。格子パラメーターの連続的/滑らかな変調を適用す るために必要なステップです:

4. 変数を選定しメリット関数 を定義して、変調する格 子パラメーターを最適化 します。

Footprint and Grating Analysis ツールを使用して、格子パラメーターの変数について所望 の範囲を指定し、指定の条件(波長および方向)に対するレイリー係数を事前計算します。 次の段階として、Optical Setup が生成され、滑らかなパラメーター変調を定義できます:

メモ:回折格子の変調は、個々の格子領域に対して定義されます。

Footprint & Grating Analysis

Footprint and Grating Analysis ツールにより、回折格子特性(複素数)が事前に計算され、選択したパラメーター(フィルファ クターなど)の指定された範囲のルックアップテーブルに保存さ れます。フィルファクターの初期範囲は効率変調の取り得る値 の範囲に応じて選択されます。詳細は、リンク先をご覧ください:
GratingAnalysis and Smoothly Modulated Grating  Parameters on Lightguides

初期光学系の生成

  • いわゆる格子パラメーター変調関数を持つライトガイド Optical  Setup は、Footprint and Grating Analysis ツール(回折格子特性を 含みます)から生成されます。
  • Uniformity Detector は、最適化にあたってのメリット関数を定義するために使用されます。

格子領域のメリット関数の定義

数学的関数に基づいて滑らかな変調を設定するための事例はこちら:
GratingAnalysis and Smoothly Modulated Grating Parameters on Lightguides

  • Light Guide Component の Edit Grating Region を開きます。回折格子特性とルックアップテー ブルが保存されています。
  • Edit ボタンから、Grating Parameter Modulation Function を programmable function として定義します。格子パラメーターの意図された線形変調は、開始/終了位置(瞳拡張格子の場合は左 から右、出射結合格子の場合は上から下の境界)での値で定義されます。

初期光学系の生成

瞳拡張/出射結合格子の変調を定義した後、Optical Setup > New Parameter Optimization から Parametric Optimization ドキュメントを起動できます。

最適化の設定 - パラメーターの選択

  • 瞳拡張/出射結合格子の変調について、開始/終了 位置のフィルファクターの数値をそれぞれ選択します。
  • 元となる値は、Grating Parameter Modulation  Function での設定に従って自動的に入力されます。

最適化の設定 - 制約の指定

  • 変数の取り得る範囲を定義します(ここでは、瞳拡張/出射結合格子のフィルファクター)。
  • 許容できる強度分布において均一性誤差を低くするために、均一性誤差についての目標値を 0% に設定し、算術平均の目標値を指定しています。
  • メリット関数の値の重みを定義することにより、最適化に対する寄与度(関連性または優先度)を適用させることができます。

最適化の結果

均一性の最適化 vs. エネルギー密度

初期/最適化後の光学系でのアイボックスで走査することにより、均一性 と局所的なエネルギー密度について、それぞれの光学系での違いが明ら かになりました。

VirtualLab Fusion のテクノロジー

ドキュメント情報

タイトル 連続的に変調された格子領域を持つライトガイドの最適化
ドキュメント番号 LIG.0011
バージョン 1.0
使用したVirtualLabのバージョン 2021.1(Build 1.180)
Edition / Toolbox
  • VirtualLab FusionAdvanced
  • Light Guide Toolbox Gold Edition
カテゴリー Application Use Case
参考資料