TECHNICAL KNOWLEDGEBASE

2023-03-08

Light Guide コンポーネントによる“HoloLens 1”タイプのレイアウトのモデリング

今日、革新的な拡張現実および複合現実デバイスのほとんどは、光を入射/出射結合するための微細構造を組み込んだ、ライトガイドまたはウェーブガイド方式に基づいています。VirtualLab Fusionは、関心のあるすべての効果(例:コヒーレンス、偏光、回折)を踏まえたユニークな物理光学的手法を適用することで、こうしたデバイスを詳細までモデリングすることができます。ここでは、光を32°×18°の視野角(FoV)に導光するLight Guide コンポーネントを用いて、“HoloLens 1”タイプ(1D-1D 瞳拡張)のシンプルなレイアウトのデバイスをモデリングします。

モデリングタスク

デフォルトのレイアウトのパラメーターは、Layout Designツールによります。参考特許:WO2011107831A1

ライトガイドの作動原理

ライトガイド内部に光を「閉じ込める」ために、全反射(TIR)を利用します。そのために、回折格子を用いて入射光の出入りを結合し、TIRのための条件が満たされることを確実にします。

射出瞳拡張回折格子の役割は、射出瞳を拡張するために、入射瞳を第1の方向(ここではx 方向)に複製することであり、言い換えれば、アイボックスを生成することです。このタイプの配置において、出射結合回折格子は、観測者に向かって光を出射結合するだけでなく、第2の方向(ここではy方向)に瞳拡張する役割があります。この分離した瞳拡張は、“HoloLens 1”タイプのレイアウトに特徴的です。

Layout Designツール

  • このようなライトガイドの横方向のレイアウトを設定するには、VirtualLabのLayout Designツールを利用します(Light Guide Toolbox Goldでのみ利用可能)。
  • この例でのパラメーターは、デフォルトの設定のままとしています。
  • このツールは、入射光とアイボックスの与えられた仕様に従うライトガイドのOptical Setupを生成します。特に、回折格子の周期と同様、領域についても横方向の位置と範囲が自動的に設定されます。
  • パラメーターを定義したら、Create Resultボタンをクリックすると、Optical Setupと対応 するk -layout Visualizationが作成されます。

k-layout Visualization

k-layout VisualizationはLayout Designツールの副産物としてライトガイド設定とともに作成されるか、メニューから独立して生成されます。

以下のパラメータが設定可能です:

  • 波長
  • ライトガイドの材質と周囲の媒質
  • 視野角(FoV)の範囲
  • 回折格子の周期と方向

結果の図には、波数空間における次の情報が含まれています:

  • 材質内部の伝播条件(利用可能な方向と波数)を表す円
  • 入射光/ある回折格子領域に続く回折光に対するFoVの拡張、形状や位置
  • 回折格子で生じる FoV シフトの概略図

ライトガイド表面のレイアウト

幾何学的レイアウトは最初の平面での3つの回折格子を示します:
  • 回折格子#1:入射結合回折格子
  • 回折格子#2:拡張回折格子
  • 回折格子#3:出射結合回折格子

回折格子#1:入射結合回折格子

入射結合回折格子は矩形領域で定義されます。回折格子領域を定義する一般的な流れは以下の通りです:

1.回折格子領域の形状と直径を決定

2.回折格子領域のチャンネルを選択

回折格子#1:入射結合回折格子

3.回折格子の周期と方向を定義

4.伝播する回折次数を指定(前側/後側から)

5.透過/反射効率を指定

回折格子#2:単純なポリゴン領域における拡張回折格子

拡張回折格子はポリゴン形状の領域で定義されます。必要となる領域のチャンネルは-/+ であるため、回折格子の後側からの入射光の反射次数のみが指定されます。

回折格子#3:出射結合回折格子

出射結合回折格子は、再度、矩形領域で定義されます。領域のチャンネル-/+および-/-は、拡張/出射結合に関する次数光を活用するために必要となります。

結果:3D光学系での光線追跡

注:ディテクタに到達した光線のみが表示されます。

結果:電磁場追跡(リアルカラー表示)

結果:電磁場追跡(疑似カラー表示)

横方向の均一性の評価

アイボックス内の横方向の均一性を評価するには、Uniformity Detectorを用います。これは、光学要素のツリー(Detectors > Merit Functions > Uniformity Detector)にあります。このディテクタは、定義された位置における特定の領域(例えばアイボックス)における横方向のエネルギー密度分布を調査することができます。

ドキュメント情報

タイトル Light Guideコンポーネントによる “HoloLens 1”タイプのレイアウトのモデリング

ドキュメント番号

LIG.0002
バージョン 1.0

使用したVirtualLab のバージョン

VirtualLab Fusion Advanced 2021.1(Build 1.180)
カテゴリー Application Use Case
参考資料 Construction of a Light Guide